1, 出会い

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そして、ドアを閉めようとした時、 「待って下さい!!」 と言われた。 日本語の分からない僕は、彼女が言ったことが分かったのではなく、あまりの必死な声に驚いた。 そして、とっさに開のボタンを押した。 大声を発したであろう女性は息を切らしながら、エレベーターに乗ってきた。 加呼吸ではないかというぐらいの荒い呼吸。 「大丈夫?」 と声をかけようとした。 しかし、口を接ぐんだ。 僕は日本語を話せないから、言いたくても言えなかった。 僕は今度こそきちんと開のボタンを押した。 彼女は、背を丸め一生懸命胸に手を当て、呼吸を整えていた。 あまりに、苦しそうなので僕は彼女をうかがっていた。 すると、彼女はいきなり顔を上げ、まだ少し赤い頬を僕に見せた。 彼女は僕を見つめ、何かを言おうと口を開けた。 僕は彼女に見とれていた自分を恥じ、彼女の日本語を絶対に理解できない自分を情けないと思いながら、目をそむけた。 そうしたら、僕の視界にエレベーターの後ろの鏡が入った時、あまりの驚きに目をつぶった。 彼女のスカートが捲れあがって下着が見えていたのだ。 そのことを気付いていない彼女は、僕の顔を再度見つめてきた。 どうしても放っておけなかった僕は、彼女に分かるように彼女のスカートを指差して、その後、鏡の方に顔を向けた。 彼女も鏡の方に顔を向けた瞬間、顔を真っ赤にしてスカートを下ろし、何回もスカートを下に引っ張っていた。 そして、私に真っ赤な顔を向け、「サイテー」と言った。 僕はそれをお礼の言葉だと勘違いした。 そして、僕の入院している部屋のある三階にエレベーターが着き、ドアが開いた。 僕は彼女にニッコリ微笑み、エレベーターから降りて自分の部屋に自力で向かった。 ただ、礼を言ってもらえて嬉しかった。 勘違いしていたと知ったのは、ずいぶん後だが、なぜか、胸の方がほんのり温かく感じた。 日本に来て、初めての経験だった。
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