『青姫』~遅刻なんて当たり前!?~

4/24
前へ
/348ページ
次へ
俺の両親は、海外のトップの会社に勤めている。だから、今は、一人暮らしだ。海外赴任というやつだ。 別にトップで働いてるからってお金持ちってわけではない。毎月、お金が振り込まれて俺はそれでギリギリ生活をしている。 さて、誰かわからない読者様に自己紹介が終わったところで、朝飯を……。 ふと、俺は壁にかかった時計が目に止まる。 『8:30』 ……………………。 あ、あれ、おかしいな…ゴシゴシ …もう一度。 『8:31』 ……おいおいおい。まじかよ、セニョリータ。そうだ、時計。時計が壊れているんだ、ハハッ。 携帯を見る。 『8:32』 「ち、遅刻じゃねえか!!!」 やっとのことで時間を理解できた俺は、一瞬にして朝メシ(パン一個)と着替えをこなした。その時間約30秒。我ながら凄いと思う…。 遠山のやろう……。騒音だけではあきたらず、時間まで狂わすとは、恐るべし……。 やっぱ、ごみ箱じゃなくて、焼却炉に入れてやるろうか…。いや、やり過ぎか…。 急いで靴を履いていると、シロが何か口にくわえながら俺に寄ってきた。 「おっと、すまんなシロ」 シロからリストバンドを受け取ると右手に付ける。 「今日は、早く帰るから待ってろよ」 始業式だしな。早く終わるだろう。 そう言って、俺はシロの頭を撫でて家を出て行った。 ――新しい時計買わないと…。五月蝿くないやつを。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6247人が本棚に入れています
本棚に追加