序章

2/4
前へ
/36ページ
次へ
――イッシュ地方。 蒼い空に白い雲が浮かんでいる。 穏やかな風に乗りながら、マメパトの群れが飛んでいる。 その群れの中の一匹が何かに気付き、下降した。他のものたちは興味がないのか、そのまま飛び去ってしまった。 そのマメパトが降りた場所は、16番道路にある〝迷いの森〟。さほど要り組んでもいないのに、迷うと言われる不思議な森である。 しかしマメパトは構わずに森の奥まで飛んだ。まるで森を熟知しているかのように。 地面には餌になりそうな虫ポケモンがいたが、それらには目もくれないで素通りした。 人気のない奥まで来ると一軒のログハウスが建っていた。 その家の開け放たれている窓辺へ、マメパトは降りた。 部屋の中にはイスに座って読書をしている一人の青年がいた。美しいクリーム色の長髪が整った顔に合っている。 青年は窓辺のマメパトに気付き、本に栞を挟んで机の上に置いた。 窓辺に近づきマメパトをなでる。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加