奴隷市と救世主

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「さぁ、最後の商品は、エルフの少女だ。」 そこにはまだ十歳前後であろう、尖った耳で、腰まである金髪の、所謂エルフと呼ばれる種族の少女が、怯えきった表情で、身体を小刻みに揺らしながら立っていた。 「では、金板一枚からのスタートだ。」 進行役の男が言うと、次々に声が上がり、値段はぐんぐんと上がっていった。 「なんと金板百枚が出たぞ!これ以上はいないか?いないようなので、このエルフの少女は、そこの黒衣の貴方の物だ!」 金板百枚、日本円にすると一億の金額を言った黒衣の男、それは 「さて、仕事するか。今回の依頼は奴隷市の調査及び首謀者、参加者の捕縛だったな。」 月夜が誇る最強のギルド員、夜王こと篠原祐弥だった。 まず、何故祐弥が今の状況になってるのかを説明しよう。 回想スタート 「ちわーっす三河屋でーす。」 祐弥はコートを羽織っていない状態でギルドに来ていた。 目的は単純に適当な依頼を受けに来たのだ。 まぁ、貴族になった時に正体はバラしてるので、コートの有無は関係ないのだが。 「あ、夜王様。今日はお一人でどうしたんですか?」 ギルドに入ると一番最初にミーナが声を掛けてきた。 正体をバラした今でも、基本的にギルドに参加してるものは、祐弥を夜王と呼んでいる。 そして、ミーナの言う通り、祐弥は珍しくギルドに一人で来たのだ。
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