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法崎つかさ(ほうさき つかさ)は侮っていた。
足を踏み入れたのは一人の女性の個室であり、決して未開の秘境や、魔窟に迷い込んだわけではない筈だった。
しかし部屋の輪郭を埋め尽くすように散乱した物品の数々は、およそ人が住まう場所に転がっている量では、断じて無かった。
更に恐ろしいところは、そんな惨状にあって、中央のベッドに毛布に包まって安らかに眠っている人影が見えることである。むしろその人影が無ければ、この場は産業廃棄物の収集場所か、或いは整理のされていない物置と言われても仕方の無い状況であった。
(…かおるの部屋も散々だったけど。これは完全にその上を行くわね…)
玩具や本などが散乱した、妹のかつての部屋を思い浮かべながら、つかさは呆れ返っていた。
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