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『オーライ!!オーライ!!』
『はい。現場の佐藤です。
本日、海底に沈んでいた豪華客船の引き上げ作業が行われています。この船はーーーー』
突如、テレビ画面から流れてきたニュース。
男性記者がマイクを持ちながら状況を伝えている。
ワシはそのニュースに一瞬にして釘付けになった。
『まさか…あの船が引き上げられる時が来るとはのぅ…。懐かしいわい。』
コタツに身を預け
ミカンをほおばりながら誰もいない部屋で呟く。
ワシの名は山田茂吉
歳はいくつかって?
いつからか数えることを止め、自分の年齢などわかりもせんわい。
決してボケているわけではない。
そこだけは間違えないようにして頂きたいもんじゃ。
いや、そもそも自分以外に誰もいない部屋で
こんな独り言を呟いている時点でかなりレッドゾーンなんじゃ?…だと?
…バカめ。
何を世迷い事を抜かしておるのやら。
ワシがボケているってんなら、世の中の大半の連中はボケを通り越して、もう無我の境地的な?
身体中からなんか知らないケド、オーラみたいなんが出ちゃってる的な?
常人からオーラなんか出るかヴォケが。
ワシが見たことあるのは
冬場にデブがマラソンした後に立ち上ってる湯気くらいなもんじゃわい!!
なぁ?ばぁさんや。
…そうか。
ばぁさんはもういないんじゃったな…。
久々に墓参りにでも行くか。
ワシはコタツから抜け出して身支度を整え家を後にしたーーー。
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