山田 茂吉

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生まれて初めて見たのは ナタを持って目を見開いてるじじぃだった。 あぁ…俺、死ぬんですね。わかります。 そう思った。 だってさ、目の前にナタを持ったじじぃよ? そんなん普通に考えたら ジ・エンド って奴でしょ。 おいおい。 生まれてすぐに殺られるとか俺どんだけ可哀想なのよ。 まぁ、仕方ないね。 覚悟して目を閉じたら これまでの走馬灯が浮かんで…こねーよ。 だって思い出なんもないんだもん。 そりゃ走馬灯も浮かばねーわ。 いいさ。 やれよ。 一思いにさ。 そう思ってたらじじいが俺を抱き抱えてさ 『桃から子供が出てきよったわい!!』 とか言うわけ。 あれ? これ殺られない? 『よし!!桃から生まれた男の子じゃからなぁ。お前は今日から桃太郎じゃ!!』 …安易な名前つけてんじゃねーよ。 もっと捻れよ。 月って書いてライト とかさ 騎士って書いてナイト とかさ せめて名付けの本とか読めと。 今、流行りの名前とかチェックしとけと。 そんな俺を差し置いてさ 『はっはっは。桃太郎!!お前は桃太郎じゃぁ~!!』 俺に殺意が生まれた瞬間だったね。
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