山田 茂吉

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俺が放った石はさ 熊に当たったわけだよね。 勘のいいあなたの事ですから 薄々感付いてたんじゃないかと思いますが。 そう。 石が当たった瞬間に熊はまるで加速装置が付いているかのようなスピードで襲いかかって来ましたよ。 お前は009かってゆーね。 これはもう死んだなと。 俺は生まれて何回死にかかってんだよと。 もう身体も硬直しちゃって逃げ場なし的なね。 熊の振りかぶられた爪が眼前に降り下ろされようかと言うときに。 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない 俺の中で何かが弾けたんだ。 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。 それはもう計り知れないくらい。 動け動け動け動け 動いてよぉぉぉぉぉお!! 気付けば俺は熊の腕をパシッと掴んでいましたよ。 こう、パシッとね。 パシッっと。 悟空がクウラが調子に乗ってボコスカ殴ってた腕を掴んだときのように。 『おめぇはもう、謝ったって許さねぇかんなぁぁぁぁぁあ!!』 俺は吠えた。 そしたら熊はどうしたと思う? 土下座して謝ってきたよ。ホントすんませんでしたってさ。 あぁ、話せば分かる奴なんだなって思ったよ。 熊は見た目じゃないってやつだね。
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