祐(たすく)

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祐は、ふと昔のことを思い出した。 中学一年生のバレンタインデー。 青臭い思い出だ。 祐はクラスの女子に手作りのお菓子を貰った。 お菓子はチョコレートではなく、クッキーだった。 祐はお菓子を食べた事がなかった。 祐の両親は厳しく、一切のお菓子を与えなかったし、お菓子を食べてはいけないと強く言われていたからだ。 当時の祐はお菓子を食べないのが当たり前になっていた。 しかし、せっかく貰った手作りのクッキーを食べないわけにはいかない。 祐は家に帰ると、急いで部屋に入り、こっそりとクッキーを食べた。
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