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衝撃音だけが聞こえた。
その小さな生命は最後に何も発生しなかった。
二人の青年は、慌てて自転車から降りた。
「駄目だよ、中田。ピクリとも動いていない」
先に確認した田中が言った。
先ほどまでは、若いエネルギーに満ち溢れていた中田の顔は、友人の声を聞いて青ざめていた。
「あぁ、なんてことだ。ごめんよ。許しておくれ」
中田は地面に膝をつけ、謝った。
中田の声は届かない。犬は動かない。
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