田中と中田(たなかとなかた)

4/4
前へ
/187ページ
次へ
「それなら、幸せ地蔵の山へ行こう。幸せ地蔵に、この犬が安らかに眠れるように、お願いをしよう」 田中も自転車に乗りながら言った。 「うん。そうしよう。田中、悪いけど家からスコップ持ってきてくれないか? 親父さんの仕事用の大きなやつ」 「うん。持っていくから、第三公園で待っていて」 田中は自転車を漕ぎ出した。 スピードは出さずにゆっくりと。 中田もゆっくりと自転車を漕ぎ、第三公園へ向かった。 太陽が傾きかけていた。 犬は動かない。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加