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日が沈み、暗闇が世界を覆う。
その夜空の中、素晴らしい円を描く月が世界を淡く照らしていた。
夜のレンガ造りの町並みは昼の市場で人が行き交う賑やかな雰囲気とは違い、
絵になる風景を静かに見せている。
等間隔に置かれている街灯が町を照らしていた。
その町の街道を腕を後ろで組み、ピンクのロングヘアーをなびかせながらひたひたと歩く少女の姿があった。
スカートにブレザーを羽織る姿から学生のようだ。
真夜中の町にはいささか不自然に映る。
そして少女の数歩先を一匹の猫が歩いていた。
普通の猫とは違い、頭が大きく胴が短い。
そして2足歩行で歩く姿は健気で可愛らしい。
「この辺だ」
猫がしっぽをくるりと回し少女のほうを振り向く。
少女は夜空を見上げた。
沢山の星が輝く中、やはり満月に彼女の視線が向けられる。
「綺麗なお月様……」
その時、街灯の一つが点滅し消えた。
猫の耳がピクリと動き、何かに気付いた。
「ミーナ、裏道だ」
すぐ側にある隣接する建物同士の間に出来た裏道に猫が駆け出すと少女もそれについていった。
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