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男の手が彼女の身体に触れようとしたその瞬間、
何かが女性と男の間を風を切る音とともに物凄いスピードで通りすぎた。
「な……!?」
その何かはすぐ側の壁に激突し、レンガが砕け散った。
たちまち女性と男を土煙が覆う。
(な、なんなの? 凄い音がしたけど……)
女性の注意はこの時ばかりは男ではなく、飛んできた何かに向けられていた。
男も突然の出来事に呆然と煙の向こうを眺めるだけだった。
「がふっ……」
「がふ?」
女性は煙の向こうから人の声が聞こえた気がした。
しかしそんなことありえないとすぐ心の中で否定したが、予想を上回る光景が目の前に現れた。
「え……?」
女性はこれは夢かと疑った。
煙が晴れるとそこには
壁に頭が突き刺ささり、胴体だけがぷらーんとしている猫の姿があった。
「だ、誰か助けてくだはい……」
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