Episode 0 リスタート

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「ゴメンゴメン。ちゃんと狙ったんだけどね」 半笑いで不機嫌な猫に謝る少女ミーナ。 「というかお前には魔法があるだろ! なぜオレを投げた!?」 「立てますか? もう安心して大丈夫ですからね」 「は、はい。ありがとう」 ミーナはにこやかに笑い女性に手を差し延べた。 「ま、また無視……!」 さすがに2度目はショックを隠しきれない様子の猫。 耳としっぽが力無く垂れ下がっている。 立ち上がった女性はミーナと猫を交互に見てはっとしたように口を開いた。 「その制服……あなたたち、まさか」 「下がってください」 女性の言葉を遮り女性を自分の後ろに下がらせる。 その目はさっきまでと打って変わり真剣な眼差しにかわっている。 「アレン、やっぱり……」 「ああ、ビンゴだ」 アレンと呼ばれた猫も真剣な表情で目の先を見据えている。 「ひっ……!?」 ミーナとアレンの睨みつけに男性は肩を揺らす。 その額からは汗が滲んでいる。 「たくっ。くだらねぇことに力使いやがって……。堂々とできないのか?」 アレンは男を指さし叫んだ。 男はさらに退く。 そしてあともう一歩下がろうとしたとき、 「ミーナ!」「うん、分かってるっ」 ミーナとアレンは同時に地を蹴り、駆け出した。 そのスピードは男との距離を一秒足らずで0にした。 思わず身構え、頭をかかえてしゃがみ込む男だったが、ミーナとアレンは男には目も暮れず通りすぎた。 男がそれに気づくより早く、ミーナは暗闇に向かって手をかざし、詠唱する。 「水疾走(アクアジェット)!」 ミーナの右手から凄い水音とともに大量の水が勢いよく噴射される。 大型ホースから発射されたように一直線に走る水は路地裏の暗闇の中に入ると何かに当たったような衝撃音が辺りに響いた。 「さっさと正体現しやがれ、変態野郎!」 「そーだ、そーだ!」
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