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暗闇の向こうに向かって叫ぶミーナとアレン。
よく見ると人影のようなものがうずくまっているようだ。
辺りが水浸しになっている。
どうやら先程の攻撃は彼に向けてのものだったようだ。
ミーナはうずくまっている影に近づき、手をかざす。
その手は男を逃がさないためにいつでも攻撃できるよう、水をまとい準備をしていた。
「人を遠隔操作で操る魔法『ブレイン』。
この男の人を操ってかよわい女性を襲わせたのはアナタね?」
「……」
うずくまっているのはやはり男性で、顔をあげると長い前髪の奥に淀んだ瞳がミーナを睨む。
「だいたい遠隔操作魔法は操る対象の近くに術者もいなくちゃならない。
真夜中だからって姿がバレないと思ったみたいだが……」
アレンがミーナの後ろから男に近付いたとき、倒れている男の口元がニヤリと笑った。
男は短い詠唱の後、女性を襲わせた男性に向かって眼光を飛ばす。
男性は男と目が合い、一瞬ふらつくと次の瞬間には大声をあげながら女性に向かって走り出した。
「な!」
アレンが男性の異変に気付いたときは術者の男もまた暗闇に姿を消そうとしていた。
「ど、どうしよう、アレン。あの悪い人逃げちゃうよ!」
(くっ。油断した……!)
アレンは舌打ちをし、女性のほうを向く。
考えてる暇はない。
まず女性を保護するのが最優先だ。
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