1860人が本棚に入れています
本棚に追加
気づいたら爆風に耐えるため地面にへばりついていた。
砂煙が消え、クリアになった視界で化け物を確認すると、全長四、五メートル程はあった化け物の頭から胸までが無くなっていた。
残った胴体から下は液状になって溶け出し、地面にしみこんでいく。
化け物とはいえ、あまりに悲惨な光景に少しだけ不憫に思えてしまった。
いまいち実感は湧かないが、どうやら危機は乗り越えたらしい。
「よし、シャドー討伐完了! キミ、大丈夫?」
彼女は大型銃器を下ろし、地面にへばりついたままの俺に手を差し出してくれた。
理解の範疇を超えた出来事の連続に立つことすら忘れていた。
女の子の手を握ることに少しだけ抵抗を覚えたが、相手の気を害しても悪いので、素直にその手を取った。
なんて細くて小さな手なのだろう。
カッと頬が熱くなり、羞恥で赤くなっていくのが分かった。
「あ、……ありが、とう」
「ふふっ、どういたしまして」
面と向かってお礼を言うのは久しぶりでなんだか照れくさい。
しかも相手は女の子だ。
化け物を前にして死にたくないと叫んでいた俺とは違い、この子は平然と武器を手にして化け物に立ち向かっていた。
化け物の上半身を木っ端みじんにして。
自分と変わらないくらいの女の子がこの異質な世界で化け物と闘っているというのに、俺の無様な醜態ときたら……思い出しただけでも羞恥で穴の中に隠れたくなる。
正直男として情けない。
己の不甲斐なさに心底落ち込んでいると、唐突に彼女が「あっ!」と声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!