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「さっきのシャドーは琉斗くんの反応を見るに、キミの感情から生まれたものだよね?……もしかして自殺とか考えてなかった?」
「は? え、いや…その……」
ドキリと一際大きく俺の心臓が波打った。
ズバリ的中している。
どうして俺が自殺を考えていたと分かるんだ? と目に見えて分かるくらいに動揺してしまった。
どうしたらいいか分からない。
どう答えたら、どう反応したらいいのか分からない。
俺はオドオドと挙動不審で詩音から目をそらしていた。
口に出さずともきっとこれが答えになっていただろう。
「やっぱりね」
俺の様子を見てゆるりと口端を上げた詩音は肯定と受け取っていた。
自殺を考えていたことを会ったばかりの女の子に知られてしまった。
それが何だか気まずくて、視線を下に落としたまま彼女と目を合わすことができない。
それでも詩音は俺から目を離そうとはせず、こちらの顔を覗き込むように無理やり目線を合わせてきた。
「シャドーはね、心の影が大きければ大きいほどそれに応じて巨大になるの。死まで追い込まれているほどなら尚更、ね?」
「……ッ!」
その言葉で、どうして彼女が俺の自殺未遂を見抜いたのか理解した。
シャドーは心の影から生まれるもの。
ならそのシャドーを見れば、その人物がどれだけ追い込まれているのかが分かる。
彼女はきっと今までいろんなシャドーを見てきたのだろう。
だからこそ分かるんだ。
俺の中に渦巻く心の影が……。
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