終わりから始まりへ

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  あぁ……だるい、疲れた。 今の俺に何ができるだろうか。 心躍るような将来の自分像、未知の可能性を抱いて社会へと歩みだす輝かしい未来。 ―――そんな自分の姿が今の俺には全く見えない。 頭上に広がる淀んだ夜空のように、俺の前に広がる道は真っ黒に塗りつぶされていた。 俺には両親はいない。 幼いときに事故で亡くなったからだ。 両親を亡くし、居場所がなくなった俺の面倒を見てくれたのは優しい祖父母。 生活が苦しいのにも関わらず、ここまで支えてくれたとても親切な人達だ。 いつか二人に恩返しをしよう、そんな思いを胸に一生懸命頑張ってきたつもりだった……。 けど、 学校へ行けばいじめが絶えず襲いかかり、穏やかな学生生活なんてものは無い。 教師には問題児扱いされ、そのせいで祖父母にも迷惑をかけてしまった。 名誉を挽回しようと苦手な勉強に打ち込み、クラスの仲間たちに溶け込もうと明るく振舞ったりもした。 何度も、何度も、何度も。 でも周りはそれを嗤って跳ねのける。 当然だ。 俺の味方なんて誰一人いないのだから――― どれだけやっても何も上手くいかない。 これから先やっていける自信もない。 全部俺のせいじゃないのに……もう、これ以上は……無理だ。 "こんなことで?"って思う奴もいるだろう。 笑いたければ笑えばいい。 俺はそれだけの人間だったって話だ。 励まされようが、罵倒されようが、もうどうでもいい。 ―――今から何もかも消えて無くなるんだから。
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