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ムーニは川に行った。ひとりで薄暗い森はやはりムーニは怖かった。
・・・そこにお母さんが・・・いや、僕はひとりでも生きていけると心にきめたんだ!
ムーニは勇気を振り絞って、鬱蒼とした森を抜けた。
川を見つけた。川は山林の間を横切りとうとうと流れていた。
ムーニは川に狙いを定めて前脚をえいっ!・・・駄目だ!もう一度えいっ・・・!ピシャっ!
バタバタ跳ねるヤマメ。ムーニはありつこうとしたら、
バシッ!痛っ!
ムーニは何者かにつつかれた。
「ここは私の漁地だ!勝手に入るな!」
この川の領域を陣取るシラサギに、鋭い嘴でムーニは攻撃された。
「痛い!痛い!知らなかったんだよ!」「知らないもへったくれもあるか!」 ムーニはシラサギの激しい嘴の攻撃に悲鳴を上げた。
ズルッ!ムーニは脚を滑らせ、
バッシャーン!
ムーニは川に墜落した。
「あれ?クマに勝っちゃった!まいいか。」ツキノワグマのムーニを攻撃したシラサギは呑気にムーニが捕ったヤマメをいただいた。
一方のムーニは深く流れが激しい川に脚を取られ、もがき溺れていた。
・・・困った!どうしょう!このままお母さんのところに僕も行くのかな?・・・
ムーニがもがいて川に這い上がる気力もなくなってきた時、
バッシャーン!何?
ムーニの前脚を掴んでいる者がいた。そのまま川からムーニは引き上げられた。
ムーニは気官に入った川の水を吐き出し、武者震いして体の水気を払うと、そこにいたのが一頭のツキノワグマだった。
「君は誰?」
「僕の名前はプックって言うんだ。で、君は?」
「僕の名前はムーニって言うんだ。よろしく。」
「こちらこそよろしく!」プックという雄のツキノワグマはウインクして微笑んだ。
「なんだ。君も同じ“みなしご”なんだ。」プックはムーニと話をした。プックもまた母グマをハンターに殺されている。プックの場合は山林を散策していたハイカーを母グマに襲いかかった・・・いや、ハイカーの方が母グマに手を出したというのが正解だ。
ハイカーは興味本位で母グマに餌をやろうとして気付かなかったので、石を投げつけたのがきっかけだ。
プックの母グマもムーニ同様に目の前で地元の猟友会のハンターに射殺されたのだ。
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