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「誰だ謝れゴルァ!」「ごめんなさい!クマ違いでした!」
「誰だって言ってるんだ!」「ムーニです!」
「あ、母グマを見殺しにした奴か。」
ムーニはムッとした。2頭のツキノワグマは喧嘩になった。当然喧嘩の弱いムーニは厳ついクマに押され気味になり一方的にやられっぱなしだった。
全身字だらけのムーニは「プックという僕の友達だとおもったんだよ!」と悲鳴に似た声を挙げた。
「何?プックだと?!」厳ついクマがムーニへの攻撃を止めた。
「知ってるの?プックのこと!」
「プックって、あのお前さんと一緒にいつもいたクマか。あのクマなら人里に出たとたんに人間にズドン!だ。可哀想にだが自己責任ってことで。」
「えっ!!・・・」
ムーニは絶句した。プックが死んだ・・・!プックもお母さんと同様に人間に殺された・・・!プックよ、何で人間の住む場所なんかに行ったんだ!食べ物は僕のを足りなかったら分けてあげるのに・・・!悔しい・・・!ちくしょう!・・・ムーニの目から大粒の涙がこぼれだ。そして、厳ついクマのプックのことを“自己責任”と言ったことに激しい怒りを覚えた。
「プックは!プックは!」ムーニは厳ついクマに張り手をぶちかました。
「おいおい、じゃあお前さんは何でプックが人里に行くのを止めなかったんだ?友達だろ?」
ムーニは張り手を止めた。その通りだ。ムーニは自分が冬眠することばから考えていて、プックのことを気にかけなかった。
「食べ物がこの山には少なかったら手を貸すのが、友達なのに・・・落ち度だ!僕の落ち度だ!ごめんよプック・・・!」
ムーニは声挙げて泣いた。うおおおおおん!!!
隣にいた厳ついクマもうっすらと涙をこぼし、もらい泣きしていた。
そして今は、お母さんもプックのことをどうしても思い出すこの山林を後にして、遠く離れた違う山林に住んでいるムーニは冬眠の穴の中。
離れたものの、まだ母グマやプックのことを思い出すと涙が出る。涙も乾く間もなく、またムーニはウトウトと眠りこけた。
・・・ここは・・・
ムーニは夢を見ている。
ムーニは目の前に母グマを見つけた。お母さん!!ムーニはそろりそろりとお母さんの後ろから近づいて、目隠しして「だーれだ!」としたかった。
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