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ツキノワグマのムーニは巣穴を飛び出した。・・・煙で目が痛い!いったいどうしたんだ!
この巣穴だけでない。他のクマの巣穴も煙に燻りだされていた。
人間がクマの農作物被害や人里を降りてくる危険を未然に防ごうと、先回りして冬眠中のクマの巣穴に発煙筒を投げ入れてたのだ!!
たまらなくなって巣穴から出たクマはそばに設置した箱罠に捉えられたり、その場でハンターに射殺されるかどちらかだ。人間はここぞとばかりクマ撃滅作戦を仕掛けてきたのだ!
危うくムーニの巣穴は箱罠が無かった。ムーニだけでない。幸い箱罠の無かったツキノワグマをムーニは見つけた。
「おーい!」そのクマはムーニの声を無視して煙から逃げだすことに夢中だった。その時、
ダーン!ダーン!
そのクマはハンターのライフル銃で仕留められ、悲しい悲鳴をあげて転倒した。ムーニは顔が青ざめ動転した。
立ち竦む暇はない。次はムーニが狙われた!
ダーン!ダーン!
間一髪!ムーニはとっさに逃げ出し、銃の弾はムーニをそれた。
所々で巻き起こるクマ仲間達の断末魔・・・あるクマは箱罠に捕らえられ、棒で打ちのめされ苦痛を与えて殺され、あるいは逃げる間もなくハンターに次々に射殺され・・・地獄だ・・・!僕は地獄にいるんだ・・・!いや、まだ僕は冬眠中で夢の中か?
わっ!
ムーニはつまづいて転倒した。痛い!
・・・これは夢ではない!現実だ!!今まさに僕は地獄の世界の真っ只中にいるんだ!
ムーニは恐ろしさの余り悲鳴をあげた。グオオオオ!!!!
そのムーニの悲鳴はハンター達に気づかれてしまった。
ダーン!ダーン!ダーン!
グオオオオ!!!ムーニは叫びながら弾を避けるように茂みに逃げ込んだ。
「痛えなコラ!」そこには先客のクマがいた。それはこの山の一番力の強いブーウという名前の“番長格”のクマだった。
「すみません!すみません!」ムーニは誤った。
「誤ったじゃ済まねぇだろ!!こっちは危ねぇなんだよ!ここで逢ったが三件目、この前のお見舞いはたっぷりとするからな!」
ムーニは冬眠前にこのブーウと美味しそうなヤマブドウをめぐって小競り合いをしたことを思い出した。その時はブーウにヤマブドウを取られたが、何で怒ってんのだろうと考えた。
「どけこの野郎!」ブーウはムーニに襲いかかった。
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