1#消されるクマたち

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 ツキノワグマのムーニは途方に暮れて開発が進んで住む場所さえ少なくなった、この山の麓で辺りに広がる街を見つめていた。  この人里に行ったまま戻って来ない、せっかく知り合いになれた一頭のツキノワグマのことが心配だった。  前にいた山林でも、ムーニの友達のツキノワグマがこの人里に出てしまった為に、地元の猟友会に射殺され命を落とした。  まさかあいつも・・・と思うと胸が張り裂けそうだった。  そこも既に切り開かれて人間が押し寄せ、居場所も無くなってしまった。そして居場所を探し求めてやっと住み慣れたこの山林でも人間が入りこんでしまった。  他の動物達はほとんど逃げ出し、土地が人間どもの好き勝手に手を加えられ、木々もムーニの好物のドングリも探すのが容易でなくなってしまった。  これからどうすればいいんだろう。ムーニはまた山奥に行って何か食べ物を探しに行こうと思った。    森に住む小鳥たちの噂話を聞きながら、餌を探すのがムーニの日課だ。  しかし、小鳥たちの噂話でムーニ話し絶句した。  「またあの街にクマが入って人間に殺されたらしいよ。」 「お可愛そうに。でも自己責任でわざわざ危険な人間の居場所に行ったんでしょ?そのクマ。」  「そうだよな。わたしなら自分の身が大事だから行かないな。」  「あのクマが人里になんか行ったから悪いんだよ!自業自得だよ!」  「あのクマ、どこまで能無しなんだろ・・・」  「なん・・・だと!」   ツキノワグマのムーニはその小鳥達のおしゃべりに口を挟んだ。  「『能無し』に『能無し』って言っちゃ悪いか?」一羽のモズが笑いながら言った。  「その『能無し』が僕の友達だ!」  ムーニはモズのヨンつれない返答に怒った。  「じゃあ、君も人里に行けば?『友達』なんでしょ?」  モズのヨンの隣のキビタキのチピが嘲笑った。  「行くかボケェ!」  ムーニは減らず口を叩く小鳥達の止まってる木を渾身の張り手で叩いて揺らした。  「分かった分かった!でもわたしらには関係無いよーだ!」小鳥達はからかいの言葉を言いながら飛び去っていった。  「あいつが・・・死んだ・・・嘘だ・・・!」
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