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ツキノワグマのムーニとアライグマのナサリーはいつも一緒にいた。
一緒だと嬉しい。
一緒だと楽しい。
2頭は野を駆け回り、一緒に川で魚を捕ったり、笹の葉や木の実を食べたり、野原で転げ回ったりした。
タンポポの綿毛を吹きあいっこをしてどの位タンポポの綿毛を飛ばせるか競争したりした。いつもアライグマのナサリーよりツキノワグマのムーニの方が多く飛ばせた。
ムーニとナサリーはいつまでもこんなに素晴らしい日々が続けばいいのに・・・と思っていた。
だが、そんな日は突然終わらせられるとは知る予知も無かった。
夏の日差しが射すうだるような暑さだった。
巣穴では2匹がお腹をすかせて寝ていた。
「ねえ君、餌取りに行ってきてよ!」ムーニがナサリーに頼んだ。
「いや、あんたが行ってきてよ。」ナサリーが答えた。「だって巣穴冷たいし涼しいし・・・」
「君は心も冷たいね・・・」ムーニは思わず言ってしまった。
「なん・・・だと!今さっき何といった・・・!」ナサリーの声色を荒げた。
ムーニは言ってはいけないことを言ってしまったと青ざめた。「だから・・・その・・・」「おいらが冷たいだと?訂正しろよ!この言葉!」「ごめんなさい!訂正するよ!」
巣穴が気まずい空気になった。
ムーニの失言でナサリーは怒り浸透で口を聞いてくれない。ならばちゃんと僕が「行く」と素直に言えばよかった・・・と後悔した。
しばらく経った。
「やっぱりおいらが行ってくるわ。」ナサリーが重い腰をあげた。
「いや、僕が行く!」ムーニがとがめた。
「なあ、おいらが冷たい奴なんだろ・・・」ナサリーが横目でムーニを睨みつけた。
「だから・・・誤ってるでしょ?ごめんなさいって!訂正するって!」
「うるさい!おいらには冗談は通じない!お前は寝てろ!」
「やだ!僕が行く!」「お前は残れ!」「やだ!」「残れ!」「やだ!」「残れ!」「やだ!」「残れ!」「やだ!」「残れ!」・・・
ムーニとナサリーの鍔迫り合いが始まった。
何回かの鍔迫り合いでムーニは、
「分かったよ・・・そんなに行きたいなら行けばいいじゃん・・・次は僕が行くから。気をつけてね・・・」
ムーニは降参した。
「いや、もう行かなくていい。金輪際お前となんか・・・」「えっ・・・!」
これは絶交を意味した。もう駄目だ・・・
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