7#友達が死んだ

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 僕が悪いんだ・・・!僕はひとりぼっちだといいながら、てめえの落ち度のせいで友達を無くすなんて・・・いい気味だ!僕はどうせひとりぼっちなんだ!畜生!自分が悪いんだ!  ムーニの悔し涙は怒りながら巣穴を後にするナサリーの姿を滲ませた。  再びひとりぼっちになったツキノワグマのムーニは、あのアライグマのナサリーがもう帰って来ないと知りながら巣穴でじっと待っていた。  ずっとずっとずっとずっと巣穴で寝そべって待っていた。 ぐるるるきゅるる~  ムーニのお腹が鳴った。  ・・・そういえば、あれから何も食べて無かったっけ?元々ナサリーとは食べ物探しで行く行かないで喧嘩したんだっけな・・・  ぐるるるきゅるる~  駄目だ・・・!やはり自分も行かなきゃ!でもナサリーが食い物持って戻って来たら・・・いや、あいつはもう戻って来ないんだ!僕の自己中のせいで愛想尽かしたんだ!・・・もう二度と・・・  そう思うとたまらなくなり、ムーニは巣穴を出た。  ・・・!  ムーニは出た巣穴の真ん前で絶句して立ち止まった。  ナサリーが体をヒクヒクしながら倒れこんでいた。  ナサリーのそばには無数の美味しそうな肉団子が散らばっていた。  「ナサリー、こんな所で寝ててどうしたの?あ、こんな所に美味しいそうな食い物あるじゃん!持ってきたの?ありがとう!いただきま~・・・」  「喰うな!!」体を痙攣させてナサリーが口から泡を吐きながら叫んだ。  「こ・・・この食い物には毒が入っ・・・ている!」  ムーニは危うくその毒入り肉団子を食べそうになった。  「おいら達アライグマはこの“日本“”にはいてはいけない種族なんだ!いると生態系が崩れるとななんかで消される運命なんだ!いずれはおいらも消される運命だったんだ!」  「ええっ?」  「お前達ツキノワグマは元々日本にいる種族だ!おいらは遠くアメリカから連れて来られた種族だ!ただ人間の“ペット”として!その人間がもう要らないといきなり日本の山に捨てられたらどうなる?おいらは身勝手な人間が憎い!お前も仲間が人間の都合で殺されて憎いだろう!人間なんかこんなもんだ!」  「そう言われれば・・・」ムーニはどう返答したらいいのか分からない。  「あの時・・・」突然ナサリーに毒が体中に廻ったのか痙攣が酷くなり、咳き込んだ。  「どうしたの!」ムーニの顔は引きつった。  
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