8#流浪のムーニ

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 夕立はやがてしとしと雨となり、落胆と絶望にまみれ目から涙を流してうなだれながらトボトボ歩くツキノワグマのムーニを打ちのめした。  ・・・ちくしょう・・・ちくしょう・・・何でこんなことになるんだ・・・一向に人間のせいではないかもな・・・僕がちゃんとしていれば・・・モズの言う言葉が正しければ・・・人間が原因ならば僕は“クマ”で良かったかもな・・・でも僕は“凶暴なクマ”である僕が・・・  『・・・お前さんはひとりじゃないからな。』  ムーニはモズの言った言葉が脳裏に浮かんではっと気づいた。  ・・・そうだ!僕はひとりぼっちじゃないんだ!どこかに僕を優しく見守っている奴がいるんだ!母さん!プック!そしてナサリー!僕は今はひとりでも生き抜いてやるぞ!!天国で見てく・・・れ!!ああっ!  ムーニは脚をとられた。ムーニは前をよく見ずに歩いていて道を外れ、夕立で灌水した川にドボン!!  しまった!!  急流に押し流されるムーニ。脚が底に着かず、岸にもたどりつけない位激しく流れだ。  ムーニはアップアップしながら激しい水流に揉まれてもがき苦しんだ。  ガン!ガン!  潅木や川の石がムーニを襲う。痛い!  全身字だらけのムーニ。いつの間にかもがき疲れて気絶してしまった。  迫る滝。そのままムーニは滝に呑まれていった。
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