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ムーニの母は、人間に殺された。しかも、ムーニの目の前で・・・
前にいた山林で、ムーニに母はひとり立ち出来るように食べ物の穫り方を教えてもらっていた。
ドングリなどの木の実の見つけ方や川で魚の捕まえ方等、母グマはムーニに手取り足取り優しく時に厳しく自然で生き延びていくすべをムーニに教えこんでいた。
ある日、母グマはムーニについて来るように言われた。
「どこに連れて行くの?」とムーニは母グマに聞いたが、何も答えなかった。
母グマとムーニは山を下り、開けた草原を抜けて橋を渡ったところで母グマは言った。
「これから最も重要で最も危険な食べ物の見つけ方を教えてるよ。ムーニは餌の穫り方を十分に覚えたから今度は最も難しくて、運が悪ければ本当に命を落とすかもしれない食べ物の見つけ方を教えてるから。これは本当に山で食べ物が見つからなくて、どうしても何か食べなければ生きてられない時だけの方法だからね。もしかしたら私はムーニにこれを教えている時にいなくなるかも・・・」
ムーニはドキッとした。母グマの「いなくなる」という最後の言葉が気になった。どんなことをするのだろうか・・・?複雑な気持ちになった。
親子グマは街に出た。
・・・麓に広がっていた岩がでこぼこしたような風景はこうなっていたのか。 小熊のムーニは街を歩きながら考えていた。
親子グマが街中を堂々と歩いていたことが、母グマの大きな誤算だった。
「クマが出たぞ!!」「助けて!」「近寄るな!」街中はたちまち大騒ぎになった。
母グマは騒ぎに気づいた。でも小熊は何かが騒いでいると思うだけだった。
「さあ、」母グマは生ゴミのある袋がいっぱい積んである住宅のゴミ置き場の前にムーニを呼んだ。「時間が無いから早く!」よそ見をしていたムーニは母グマの言うことを無視して、母グマから離れた。
「何もかも物珍しいなあ!わーい!」ムーニははしゃいだ。
「お母さん!こっちこっち!」「ムーニ!いけません!!」ムーニは街中をキョロキョロしながら走り回った。
ゴンっ!
ムーニは何かにぶつかって見上げた。
・・・それはこの住民の一人・・・
「たっ・・・助けてくれ~~!!クマだ!!」
地元の警察や猟友会のハンターが駆けつけた。ムーニは訳が判らなくなった。
ムーニはむちゃくちゃに逃げた。小熊と人間の『大穫物』が始まった。
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