2#ムーニのお母さん

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 どこに逃げても追いかけくる人間たち。いきなり石が飛んできてムーニに当たった。痛い!!  突然ムーニは脚がもつれて転んだ。  迫る人間達。  ・・・『街』というのはこんなに恐ろしいとこなのか?お母さんは何で僕をここに連れてきたのか? ムーニはビクビク震えながら考えた。  目の前のハンターが小熊のムーニを鉈で斬りつけようと手を振り上げた・・・!もう駄目だ・・・!  グサッ!!  鉈で斬られたのはムーニを守るために立ちはだかった母グマだった。母グマは鉈で斬られた頭から出る血で真っ赤に染まった。  「だからついてきて!とあれほど言ったでしょ!ここはとてつもなく危険な場所だということが身に染みて分かったでしょ!ここには食べ物がすぐ見つかるけど恐ろしい人間に殺されるというリスクもあるの!この人里に来たクマはもう生きて元の場所には戻って来られないのよ!!坊や!私に構わず逃げて!逃げて逃げて逃げのびて!そしてどんなことにも負けない立派なクマになってね!!」  ムーニは動転した。ムーニはこの状況が飲み込めなかった。  ムーニは離れてたくなかった。ムーニはお母さんに甘えたかった。まだ母にすがりたかった。  「何してるの?もう私はもう保たないわ。あなたは私が居なくてもひとりで生きられるわ。狩りの方法も十分に覚えてるからひとりで生きられるわ。もうひとりだちしなさい!それが今なのよ!いつまでも甘えてんじゃねぇ!」  血まみれの母グマは死を覚悟で鉈で攻撃したハンターに襲いかかった。ハンターは母グマの鋭い爪の攻撃で負傷した。辺りは血の海になった。  「この野郎!!」  ダーン!ダーン!  仲間のハンターの散弾銃の弾が母グマのこめかみに命中した。母グマは悲しそうな叫びをあげて倒れこんだ。  ハンターは母グマがもう二度と起き上がらないよう安全のために、銃弾を数発ぐったりした母グマに撃ち込んだ。  その瞬間、ムーニのお母さんは絶命した。  「お母さあああああん!!グオオオオ!!」ムーニは母グマの亡骸に寄り添って泣き叫んだ。  ムーニは泣いている暇はない。今度は小熊のムーニにハンターは銃口を向けられていたのだ・・・!  ・・・逃げて逃げて逃げまくって!・・・  ムーニは母グマの死に際に放った一言が脳裏をよぎった。  間一髪!ハンターの銃弾はダッシュしたムーニを外した。
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