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「怪我してねェか・・・?」
ラジットは驚きで顔を上げる。
絶対に怒られると思っていたのだ。
それがレフティの表情を見た瞬間、声を上げて泣いた。
『しょうがねェな・・・』
レフティは、そんな表情をしていたのだ。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!」
何度も詫び、泣きじゃくる。
「いいさ・・・こんな状況じゃあ、仕方ねェさ・・・もういいぜ・・・」
自分だってガキの頃は、そんなに肝っ玉が太かったわけじゃない・・・だからラジットの気持ちは解る。
「いい加減、泣き止め・・・男がそんなことで泣くんじゃねェよ」
ラジットはまだしばらく泣いていたが、やがて頷きながら泥だらけの手で涙を拭った。
「さあ、行くぜ・・・まだ先は長いんだ・・・」
マイスをおぶり直し、ラジットとレフティは先へと進む・・・洞窟の崩落はいつの間にか止まっていた。
・・・・・・ラウは飛ぶ様に洞窟を進んでいた。
掌拳術の技の一つ『神歩』によって、常人では考えられない程のスピードで崩れ落ちて来る岩盤を避けながら、崩落より速く進む。
穴が小さくなれば地を滑り、道が段差で高くなれば跳び上がる・・・こちらの道はラウでなければ進めなかったであろうと思われるほど、高低の落差が激しかった。
やがてラウは崩落が止まった事に気がついた。
徐々に速度を落とし、振り返る。
ランプの光を今通って来た道に向けた。
先の方は暗くて見えないが、崩れていて恐らくもう戻れまい。
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