プロローグ ~英雄から邪神へ~

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プロローグ ~英雄から邪神へ~

3800年余りもの昔、東方の大国に『クシュプト』という名の将軍がいた。 『不敗将軍』と言われる彼の軍勢は連戦連勝を(おさ)め、国は拡大の一途(いっと)辿(たど)る。 彼の偉業(いぎょう)は兵士や国民を問わず多くの人々を熱狂させていた。 人々は畏敬(いけい)の念を持って彼をこう呼ぶ。 『英雄』・・・と。 その功績(こうせき)から国王の娘『ファルセット姫』との婚約も決まり、(よど)みなく流れる川の様に全てが順風満帆(じゅんぷうまんぱん)であった。 しかし、ある些細(ささい)な出来事から(ゆが)みは・・・始まる。 クシュプトは戦勝パレードで街の中を大きな馬車に乗り、歓声に()き返る国民に手を振っていた。 その隣には婚約者となったファルセット姫が、可憐(かれん)な花の様に座っている。 二人の婚約を、戦勝パレードと共に国民に知らせる為の国王の(はか)らいであった。 広場でクシュプトは1人馬車を降り、民衆と握手を()わす。 1人の少年が目を輝かせ言った。 「クシュプト様が、王様ならいいのに」 「そうだよ!強いしカッコいいし!王様になってよ」 別の少年が無邪気に言う。 「ファルセット姫と結婚なさるんだ。そのうち王位を継がれるさ!」 熱を()びた民衆が言う。 「そうだ!英雄のクシュプト様こそ王に相応(ふさわ)しい!!」 「俺達の英雄王だ!」 「クシュプト王だ!」 人々は口々に叫ぶ。
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