プロローグ ~英雄から邪神へ~

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「クシュプト王!」 「クシュプト王!!」 「クシュプト王!!!」 人々の歓声はこだまとなって国中に響き渡った。 ファルセット姫は微笑み、(いと)おしそうにクシュプトを見ている。 (私の(いと)おしい人。こんなにも国民から愛されている) 歓声が上がる中、1人胸のざわつく者がいた。 この国の王である。 クシュプトに不満があるわけではない。 自分の娘を妻に・・・と勧めたのは自分だ。 彼が娘婿(むすめむこ)となることを頼もしくも思う。 だがこの胸のザワツキは何だ? 嫉妬(しっと)か? 羨望(せんぼう)か? 畏怖(いふ)か? 自分が王であるという地位にいること以外、1人の男として相対する時、何一つ(かな)わぬであろうことか? 一言でまとめるなら・・・。 『恐怖』 そうだ・・・怖いのだ・・・。 畏怖(いふ)羨望(せんぼう)嫉妬(しっと)もある・・。 だが何よりも恐怖。 コイツ ハ ホントウ ニ ワタシ ヲ ソンケイ シテ イルノカ? ワタシ ヲ ウヤマッテ イルノカ? ワタシ ヲ ケイシ シテ イナイカ?
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