暗闇の中で

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あるガスは爆発と共に誘爆し更なる被害を広げ、あるガスは劇薬をばら撒いた。 街の西側のみで起こった爆発は結果的に街全土を巻き込む大惨事となったのだ。 ・・・・・・しかしそんな中で・・・ガヴェンド・バジェルの住民の殆どは魔物の侵攻と共に街の外へと逃げていた為、死者が出る事は殆どなかった・・・。 敢て言えば・・・それが唯一の幸いであったかもしれない・・・。 地下を進むレフティは後を追って来るように崩れていく洞窟を、暗闇で殆ど見えない状態ながらも走って進んでいた。 幾度か通った事のある洞窟である・・・僅かな照り返しの光とカンだけを頼りに走った。 やがて曲がり角の先で、光が段々と明るくなるのに気付いた。 「・・・・・・?」 レフティが近付くにつれ、洞窟全体が段々と明るくなって来る。 レフティの記憶によるとそこは若干広い場所で、数人が並んでも問題なく通れる場所である。 その広い場所に出ると、ラジットが申し訳なさそうに立ち止まっていた。 俯き加減で、気まずそうに目が泳いでいる。 先に逃げ出してしまった事に気付き、待っていたのだろう。 レフティはラジットの前で立ち止まった。 「あの・・・」 ラジットが泣きそうな顔で呟いた。 レフティは一息ついてからラジットの頭に『ポン』と手を置く。 ラジットの体がビクリと震える。 罵倒されても仕方のない事をしたのだ。 既に涙目になっていた。
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