プロローグ

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ある日、僕は久しぶりに絵を描こうと思った。 部屋の壁に飾ってある二枚の絵。 一枚は「秋」を、もう一枚は「冬」をモチーフにして女の子を描いた。 秋冬と来たら次は「春」、「夏」と描いてみようと思い至った。 僕は部屋でしばらく「春」のイメージを考える。 秋の絵は銀杏の木、冬は雪を女の子と一緒に描いてある。 春と言えば桜。僕には安直なイメージであろう桜しか思い浮かばない。 とりあえずスケッチブックと鉛筆を出して下描きをしてみると、思いの外上手くいかない。 女の子は一時間掛けて何とからしい形には出来たが、肝心の桜をどこにどのように配置すればいいのかわからない。 鉛筆を手の上で回ししばらく考えた末、僕は絵を描くことを中断することにした。
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