プロローグ

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世の中は意外と狭いと最近思うようになった。 朝や夕方電車に乗ると結構昔の知人なんかがいたりする。 だからといって話し掛けたりはしない。 会わない内に外見が思ったより変わっていたりして自信が持てないからだ。 何より僕の顔を覚えていない可能性がある。 「ナオ」 そんなことをごちゃごちゃ考えていると、後ろから声を掛けられた。 聞き覚えのある女子の声だ。 ゆっくりと振り向き、彼女の顔をじっと見つめる。 こんな綺麗な顔立ちの知り合いなんて僕にいただろうか。 「……えっと、ゴメン。思い出せないや」 「やっぱわかんないか……、じゃあクイズ! 私は誰でしょう」 人差し指を立てて笑顔を向けてくる。 こんな仕草を見たことがあるような……
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