アンダーザブロッサム

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自分の名前が「ない」と言う少女。僕は戸惑いながら、質問を投げ掛けてみた。 「ぇ…と…。じゃあ、…どこから来たんだよ。」 一番無難な質問だと思う。 少なくとも僕は。 「ドコ……?私はずっとここにいるの。」 またしても噛み合わない答えだ。 ここに住んでいるのか? いや、有り得ない。僕は1年もの間通いつめているのだ。住んでいるのなら会わないはずがない。 「…解らないっ。答えになってないよ!」 僕はイライラして怒鳴った。すると、少女がびくっとして、目を見開く。 「ぁ……。」 少女の口が何か言いたそうに開く。だが、まだ睨むようにしている僕の目を見て、閉じる。 そのまま立ち上がり、温室を走り去ってしまった。
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