8人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の名前が「ない」と言う少女。僕は戸惑いながら、質問を投げ掛けてみた。
「ぇ…と…。じゃあ、…どこから来たんだよ。」
一番無難な質問だと思う。
少なくとも僕は。
「ドコ……?私はずっとここにいるの。」
またしても噛み合わない答えだ。
ここに住んでいるのか?
いや、有り得ない。僕は1年もの間通いつめているのだ。住んでいるのなら会わないはずがない。
「…解らないっ。答えになってないよ!」
僕はイライラして怒鳴った。すると、少女がびくっとして、目を見開く。
「ぁ……。」
少女の口が何か言いたそうに開く。だが、まだ睨むようにしている僕の目を見て、閉じる。
そのまま立ち上がり、温室を走り去ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!