8人が本棚に入れています
本棚に追加
少女が走り去ってしまってから、僕は少し後悔していた。
もう少し冷静に対応するべきだったな…、と反省する。
自称この温室に住んでいる、というのなら、明日もここに居るのだろうか。
桜を見上げ、そんなことを考える自分に苦笑する。
この人見知りの僕が、またあの少女に会いたいと思っているなんて。怒鳴った事を後悔し、謝りたいと考えているなんて。
柄じゃないな…。
と、自嘲気味に肩を揺らす。
もうちょっとだけ、こうしていようか…。
少女の寄りかかっていた桜の幹に寄りかかる。そのまま上を見上げると、いつもとは少し違う桜に見えた。
結局僕は、日が暮れて、辺りが真っ暗になるまで、桜を見上げていた。
最初のコメントを投稿しよう!