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「…あれ…?僕…」
「智、大丈夫か?急に倒れたんだ」
「…そっか…」
しばらく、そのまま寝ころんでいると、歩がコップに水を入れて持ってきた。
「智、水だ。飲めるか?」
体を起こし、水を飲むと、智は立ち上がろうとした。
慌てて、歩が智を止める。
「智!まだ、ダメだって。そのままでいなよ」
「でも…」
智がうつ向くと、歩がベッドの脇に座り、話し始めた。
「智、寝言を言ってたんだ。何度も、オレの名前を呼んでた。
…智、もしかしてオレ、智に何かしらの負担をかけてる?そうだったら、言ってくれ」
少し悲しそうな表情の歩。智は、首を横に振る。
「違う!違うよ、歩くん。負担だなんて…」
しかし、その続きは言えない。
本当は、歩が好きで…たまらないから。だから…
しかし、実は歩も、まだ智に言ってない事があった。寝言で、智はこう言っていたのだ。
『歩くん…好きだよ。大好き…好きな、の…』
これを聞いた歩は、戸惑っていたのだ。
その言葉は、明らかに普通の好きではない事がわかったから。
仲の良い友人の智を、初めて意識し始めていたのだった。
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