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草木も眠る丑三つ時、とはよく言ったものだが、常にネオンの煌めく街では草木も眠れないし静寂とは真逆の世界
いつもは金色に輝く街も今日ばかりは赤い光に包まれている。
そんな繁華街の路地裏に赤い光を放つ車の周りに青い服を着た男達が、そして男達のまわりに大勢の人だかりが出来ていた。
「俺は寝てたんですけどね、林檎さん」
まだそんな季節ではないが走ったためだろうか、シャツは汗で肌に張り付いて気持ち悪い。
「ん?そりゃそうだよ。僕だって普段ならこの時間は寝てるよ?」
人を馬鹿にしたようなその答えに思わずため息が出てしまう。時刻は深夜2時を過ぎている。そんな時刻にいきなりの呼び出しだ。
林檎さん、と呼ばれた彼女はそう言って意地悪く笑う。彼女、いやそう言うには少し幼い。
黒蜜のような艶やかな長髪。
目は大きくネコを思わせる。
小学生のような体躯に纏うのはウサギ柄のパジャマ。
きっと将来は美人になること間違いなしなのだが整った顔立ちは病的に白い……というよりは血の気がない。
「それで、こんな深夜に呼び出して何があったんですか?」
彼女は手に持った小さなバックからキャラメルをとりだし口に含むとニヤリと笑う。
「また殺しだよ。神崎くん」
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