~Ⅰ~

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  『謎の連続殺人』 マスコミがそう騒ぎ初めて1ヶ月はたとうとしている。 戸杉市での被害者はすでに10人を超え、被害者同士も接点が無いことから、人々は恐怖にかられ、いつまでも犯人を捕まえられない警察に対しての不信感は日に日に強まっている。 警察は血眼になって捜査にあたっているようだがこれといった進展はない。それどころか被害者は増える一方なのが現状だ。 人々が恐怖するのは連続殺人と言う理由。それこそ、男も女も子供も大人も関係なしに……だがそれは表向きの話、この事件、公表されていないがただの連続殺人ではなく、ある物が必ず無くなっているのだ。 「今度は何ですか?」 「ん?あぁ、今回は『右腕』だって浪戯からメールがあったよ」 林檎は楽しそうに2個目キャラメルを口に含めながら目を細める。その首には可愛らしいピンクの携帯がぶら下がっている。 「犯人は一体何がしたいんだろうね神崎くん。毎回毎回、体の一部を持っていくなんて」 林檎の言い方に嫌悪感を抱くがそれを言っても無駄という事は分かっている。林檎との付き合いはそれほど短くないし、珍しい事ではないからだ。 「俺に分かる訳ないじゃないですか、俺は普通の一般人ですよ?」 「一般人?まぁそういう事にしてあげるよ」 くっくっくと林檎は笑う 「それにしても、なんなの、この人だかりは? そんなにみたいなら警察も見せてやれば良いのに。まぁ今回は右腕だからそんなに面白くはないけど」 林檎は蔑むような瞳で周囲の人を見回す。 いや、右腕じゃなくても人が死んでるんだから面白い訳ないでしょ、それに視線はアナタにも注がれてますよ。そう言いたいのをグッと堪える。深夜の繁華街にパジャマ姿の女の子がいれば必然的に目立つのは当然の事だった。 だが林檎の意見には全面的に賛成だ。殺人の現場を見て何が嬉しいのだ? 嬉々として誰かに電話している者、携帯で写真を撮っている者、老若男女問わずそんな奴ら死んでしまえば良い。 まぁ端からみれば自分たちもなのだが……  
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