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深呼吸でもしようかと考えた時、城の門が吹き飛ばされる様を目にしてしまった。
壁まで吹き飛ばされた門は粉砕、再起不能に違いない。
不法侵入大好きクラブはこれだから困る。
これで相手を倒しても、修理費を持っているかどうかは分からない。
「俺の名はカビオ!魔物め、俺は逃げださんぞ!出てくるがいい!」
頭で太陽光発電を行える、筋骨隆々の大男が現れた。
あまり賢くは無さそうだ、こんな奴の事を脳味噌まで筋肉で出来てる奴って言うんだろうな。
「あ、ちょうどよかった。アンタ掃除手伝えよ」
「え?人間?……え、なぜだ?」
「アンタ来るとこ間違えてんじゃね?それか、依頼主が間違えたか」
いきなり人の家の門をぶち壊し、不法侵入したカビオとやらもどうかと思う。
でも、そんな事をやらかした見ず知らずの人間にいきなり掃除をやらせようとするヌラもどうかと思う。
俺もヌラも、見た目は完全に人間。
角が生えているわけでも、肌の色が違ったりするわけでもない。
だから、知名度0地点の今ならば、自分から言わなきゃ魔王だなんて分かりはしないだろう。
「まぁ、いい。勝手に入ったこともあるし、手伝うとしよう。で、俺はどこを掃除すればいいんだ?」
「俺について来い」
ヌラはそう言って、カビオを連れてどっか行った。
心なしか、ヌラは嬉しそうだった。
「門についての謝罪は無しかよ」
わざわざ追いかけて殴り飛ばすのもアホらしいので、散らかった木材を集めて運んで燃やし尽くした。
仕事を増やした罪は必ず償ってもらおう。
門が無いが、そんなに簡単に替えが手に入るわけでもない。
仕方がない、しばらくは開けっぱなしだな。
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