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作業すること数時間で城の中で頻繁に立ち入るエリアは綺麗になった。
消費した魔力の量と消耗品の数は、数えるのが億劫になるほどの量だ。
「外はどうした?」
「ハァ?手ェ出すわけないだろ」
「知ってた」
綺麗になったのは中身だけ、外見は汚いまま変わって無い。
幽霊屋敷同然と言われれば、全く否定が出来ない。
「ほらよ、コーヒー!」
「ああ、ありがとう。ところでアンタ達は?」
そういえば自己紹介してなかった。
そんな得体の知れない相手の城を掃除してくれるとは、いかつい見た目とは裏腹に、中々いい奴かも知れん。
……いや、不法侵入と器物破損の前科があるのでそれはないな。
「俺はベルーガ=カオス=デス、魔王だ」
「俺はヌラ=ベッチャ。コイツの執事だ」
「ブフッ!!」
「ぎゃっ!」
驚きのあまり、カビオが吹き出したコーヒーは、ヌラが顔面で全て受け止めることとなった。
驚くのも分かるのだが、掃除したばかりのところを汚さないでほしい。
「貴様があの魔王の子孫か!?とてもそうは見えないが、成敗してくれる!!」
「一言多いぞ脳筋野郎」
だがこのカビオと名乗る男、前に来たバルカンマンとか言う害虫風情とは違って勇敢だ。
武器は大型のハンマー、そんなもの振り回されたら、ただでさえボロボロなこの城が更にボロくなる。
「やる気だぜ、アイツ。……あーもう、タオルなんか持ってねぇよクソッタレ」
「何気無く前線から退くんじゃねぇよ。主人の後ろに隠れるとか、チキってるのかお前は」
「……バレた?」
「当たり前」
「俺を無視するな貴様ら!!」
怒られたので、相手するとしようか。
殴られたら痛いで済まないだろうから、それだけ気を付けておこう。
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