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「ウオォォォオオ!!」
真っ直ぐに突っ込んで来た。
そう言うタイプの戦い方、見てる分には楽しい。
などと気を抜いている間に、眼前には巨大なハンマーが迫っていた。
だが、ここで黙ってクリーンヒットしていては魔王としてやっていけないだろう。
ハンマーの側面に軽く拳を当て、軌道をズラす。
それを何度か繰り返しても、この男には諦めが見えない。
「荒々しい、男らしい、そして暑苦しい戦いだ。やってて疲れないか?」
「黙れ!!」
力任せにハンマーを振り続ける。
その腕力と持久力には驚きだが、それでも俺に勝るようなものではない。
「ふん」
至って普通の正拳突きを、胴体に叩き込む。
鎧の装飾で少しだけ怪我をしたが、1日あれば傷跡すらも残らない程度なのでこれ以上気にはしない。
「グォアッ!」
「お前の力なんて、その程度なのさ」
本気じゃないだけありがたいと思え。
本気出したら、全身の骨は砂粒のように細かくなる。
それ以前に、肉体も装備も砕け散るだろう。
「ぐっ……ぐはっ……」
起き上がろうとはしていたようだが、痛みに耐えられずに結局倒れた。
中々暑苦しい筋肉ではあったが、俺の拳を防ぎ切るにはまだまだ足りないようだ。
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