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「クソッ……。こんなところで朽ちるなど無念だ……」
だが、この男が悪人ではない事は分かる。
まだ不法侵入と器物破損の謝罪が済んではいないが、何だかんだと作業を手伝ってくれる辺り、人の良さを感じる。
条件は整った、執事として働かないかと軽く勧誘してみよう。
いい返事を貰えたら雇うし、断られたら門を直させて生き埋めにでもしてやろう。
「なぁ、カビオとやら?お前、ウチの執事にならないか?」
「ど、奴隷にするつもりか!?」
「誰もそんなこと言ってねぇだろうが」
奴隷ねぇ、別に俺はそんな関係になる奴は要らねぇな。
もっとソフトでアウトローな関係がいい。
……間違えた、アットホームだ。
アウトローでは無法者じゃないか。
「そんな酷い扱いはしないと誓おう。3度の飯は出してやるし、殺したりもしない。働きさえすればちゃんとした環境に居させてやる」
ポカンとしてやがる。
その口にホコリでも詰めてやろうかと思うくらいには口を開けている。
欠伸してるようにも見える。
「代わりに、仕事サボんな。俺の命は狙うな。城の物壊すな」
「なぜだ?なぜ俺を助ける?」
執事が欲しいだけだ。
だが、それでは味気ない。
なので、少しそれっぽく答えておこう。
「目の前で誰か死ぬのが嫌いなんだよ!」
自分で言ってて笑いそうになって苦しい。
この間訳分からん奴素手で殴り殺したばかりだろう。
「何その台詞くっさ。ビビるわー。マジビビるわー」
イラついたのでヌラの顔面を殴っておいた。
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