1139人が本棚に入れています
本棚に追加
城の図書館にて本の整理をしていたところ、面白そうなものを発見した。
「これは……。こんなような本、昔はよく使ってたな」
それは簡単な魔法を作成するための指導書だ。
戦闘で使えるようなものは無理だと思うが、日常生活で役に立つ程度のものなら作れたはずだ。
「材料もいい感じに揃ってるし、今日は1日コイツで遊べるな」
ある程度の魔力と画用紙、それから筆記用具が揃えば簡単に作れてしまう。
便利な世の中になったものだ。
「なんだその本。エロ本?」
「性欲の塊のようなお前と一緒にするな」
「酷い言われようである」
最初の手順として、魔方陣を画用紙に書かなければならない。
これが面倒臭い、非常に面倒臭い。
忍耐強くないと発狂するレベルで面倒臭い。
「今、ズレたな」
「えっ!?……うわ、マジかよ。全部やり直しだ」
幸い、道具にも時間にも余裕はある。
何度失敗したところで問題は無い。
「……よし、もうすぐ完成だ」
「おっと足が滑った」
よく聞く言葉を発しながら、ヌラのタックルが俺に直撃。
手元は大きく狂い、魔方陣はまた始めから書き直しだ。
「イヤー、ワザトジャナインダケドナー」
「……」
俺はにこやかにヌラに近付き、そっと肩に手を置く。
そして一気に力を込め、足を払って転倒させる。
そして喉元にボールペンを突き付ける。
「悪い、手と足とボールペンが派手に滑った。次に滑ったらお前、死ぬかも知れないな。これから気を付けるように」
「キヲツケマース」
……作業に戻ろう。
最初のコメントを投稿しよう!