魔法開発実験

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城の図書館にて本の整理をしていたところ、面白そうなものを発見した。 「これは……。こんなような本、昔はよく使ってたな」 それは簡単な魔法を作成するための指導書だ。 戦闘で使えるようなものは無理だと思うが、日常生活で役に立つ程度のものなら作れたはずだ。 「材料もいい感じに揃ってるし、今日は1日コイツで遊べるな」 ある程度の魔力と画用紙、それから筆記用具が揃えば簡単に作れてしまう。 便利な世の中になったものだ。 「なんだその本。エロ本?」 「性欲の塊のようなお前と一緒にするな」 「酷い言われようである」 最初の手順として、魔方陣を画用紙に書かなければならない。 これが面倒臭い、非常に面倒臭い。 忍耐強くないと発狂するレベルで面倒臭い。 「今、ズレたな」 「えっ!?……うわ、マジかよ。全部やり直しだ」 幸い、道具にも時間にも余裕はある。 何度失敗したところで問題は無い。 「……よし、もうすぐ完成だ」 「おっと足が滑った」 よく聞く言葉を発しながら、ヌラのタックルが俺に直撃。 手元は大きく狂い、魔方陣はまた始めから書き直しだ。 「イヤー、ワザトジャナインダケドナー」 「……」 俺はにこやかにヌラに近付き、そっと肩に手を置く。 そして一気に力を込め、足を払って転倒させる。 そして喉元にボールペンを突き付ける。 「悪い、手と足とボールペンが派手に滑った。次に滑ったらお前、死ぬかも知れないな。これから気を付けるように」 「キヲツケマース」 ……作業に戻ろう。
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