勇者第一号

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着ていた鎧も、武器も、俺が使うには値しないので、近々売り飛ばすことにした。 魔王がこんなの装備って、なんか威厳のカケラも無い。 そもそも装備しないで、私服で好きに殴っていた方がよっぽど強い。 「おーい、ヌラ!!」 「なんだよ?」 「さっきの奴が漏らした小便、拭いとけ」 「ハァ!?」 「嫌ならクビだ」 「チッ……分かったよ」 仕事をずっとサボってるようなものなんだ、これくらいの事はやってもらわないと。 「臭いもちゃんと取るんだぞー!手ェ抜きやがったら飯が抜かれるぞ!」 「んな殺生なこと言うもんじゃねぇよ!」 「そんじゃあまぁ、頑張れや」 「聞けよ。……へいへい、りょーかいりょーかい」 少し腹が減ったのでカップ麺でも作ることにしよう。 一応、ヌラの分も作っておいてやろう。 普段の仕事はかなりサボってはいるが、やるときはやるはずだからな、その対価のカップ麺だ。 給料をまともな金額で払えないが、その代わりに飯はちゃんと用意することにしている。 魔王のやることじゃ無いとは思うが、別にやってら死刑なんてこと無いだろう。 こう言う家事スキル、磨いておくのは大事だ。 「おーい、俺のは焼きそばにしてくれー!」 「食っちまった」 「ストライキします」 「ぶっ殺します」 「ごめんなさい」 ……まぁ、今後の仕事の内容がよかったら、買いだめしておいてやるとしよう。
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