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口元に手を当ててより一層色を無くした和寿くんの顔を見上げて、私は思わず訊ねた。
「知ってるの!?雅樹の事…」
すると和寿くんは写真から慌てて目を逸らし、いや…と小さく否定した。
「よく…似た人を知ってる…から…ちょっと驚いただけ…
あ、珈琲、ありがとう!
い…いただきます!
…………アチッ💦💦💦」
慌ててカップを口に運んだために、唇に熱々の珈琲がかかった和寿くんは顔を歪めていた。
明らかに挙動不審。
胸がザワザワとざわめく。
「ねぇ…和寿くん、雅樹の事…知ってるんでしょ?
やっぱり、バスケ繋がり?」
「……どうして、旦那さんと別れたの?」
私の質問には答えず、逆に質問を返してきた和寿くんは俯いたまま。
雅樹の事を話すつもりで自宅に誘ったにもかかわらず、彼の態度を見て急に不安に陥った。
――なに!?なんなの!?
躊躇ったものの、話さないと彼の挙動不審の理由もわからないかと思い、私はリビングの一角にある和室の前に移動した。
「別れた……っていうか、雅樹はもう居ないの。
私達を置いて、天国に逝っちゃったから…」
躊躇いがちに襖を開けて、彼に仏壇を見せた。
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