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6ヶ月になった息子啓介(ケイスケ)の夜泣きに悪戦苦闘し、ようやくウトウトしかけた時だった。
マナーモードにしていた携帯が震えたのだ。
――こんな時間に誰?!
寝惚けた頭で携帯を開き、よく画面を見ずに電話に出た。
「もしもし…」
かなりぶっきらぼう…だったはず。
「あ…夜分に申し訳ありません!
兵庫県警高速機動隊の田辺(タナベ)と申します。
宮村雅樹(ミヤムラマサキ)さんのご家族でいらっしゃいますか?」
「あ…はい…
雅樹は主人ですが…何か?」
――兵庫県…
遥か遠い、そんな地名にまだピンとこなかった。
ただ、警察を名乗る相手から、夫雅樹の名前が出た事に驚いてはいたのだが――
この後の事はよく覚えていない。
何か無心でメモを取ったり、その後すぐに雅樹の勤務先から電話があったり…
とても忙しかった事は思い出せる。
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