後悔の先に

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ふと点けたテレビでやっていたニュースを見て、自分の高校時代のことを思い出していた。 思い出したくもないが、行方不明と聞くとどうしても思い出してしまう。 報道によると、どうやら子供が集団で行方不明になったらしい。 集団といっても人数は7人のようだが。 ──世の中物騒なんだな。 田舎も都会も変わらない── 気分が悪くなるニュースを見終え、テレビを消して寝室へ向かう。 寝室へ入り、いつものように目覚まし時計を朝の5時半にセットする。 布団に入った後、明りを消すのを忘れたことに気付いた俺は、昔から使っている勉強机が置いてある壁際を見た。 その時、机の本棚に立てかけてあった大量の日記に目がいく。 ──あんなニュース、報道しているから── 布団から出て机の前に行き、久しぶりに高校時代に書いた日記を開いた。 たまたま開いたページには、そのページを埋め尽くすほどの大きな文字で、 【俺はどうしてここに在る】 と書かれていた。 ──いつのまにか書かなくなった日記。 いや、書けなくなった日記── 日記を元の位置に戻し、すぐ横の壁にあったスイッチを押して部屋の明かりを消す。 布団に入り、静かに目を閉じた。 きっと今日も悪夢を見るのだろう。 そう感じながら、毎晩心の中にいる彼に言う。 ──健太……、俺、もうそろそろ逝くよ?── 毎晩眠りについた俺が見る夢は、必ず30年前のあの日。 俺が自分を選んだ、あの日──
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