別離(わかれ)

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 暗い・・・・・。それは、深い眠り。違う・・・・・正確には、夢の中だった。  何時も通りに普段の朝を迎える。そんな筈だった・・・・・。そう、この出来事が起こる、この時までだったら。  それは突然に起こった。強い揺れ。しかも今までに経験のした事も無い。そんな強い大地の揺れ。  これが後にいう『阪神淡路大震災』である。  関西エリアでは、それほどに強い地震が起こるなんて有り得ないと言われていたが、それを根底から覆す未曾有の大地震だった。  この時、強い揺れを感じると共に、僕には【ある重さ】も襲い掛かってきた。  ただ、その重さの元は、僕自身が良く知る優しさのある重さ。一緒に暮らしている【薫】と直ぐに分かる。  この時の僕は、この揺れは地震の揺れとも気付かずに、この重さと相まって薫の悪戯かと思い、それ程に驚きもしなかった。  だが違った。これが普段の薫の悪戯だと「早く起きろよ!」なんて声も聞こえてくるものだが、今日に限っては、それも無いのだ。かなり長いと思った揺れも、実際には3分程の揺れだったのかも知れない。薫の悪戯じゃないので、強い地震だって事は、頭で理解しながらも、この揺れが早く治まる事を願ってた。
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