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「さっ里海、ご飯食べよ?ほら、美味しそうだ!!」
焦った様子の遊真が私から目を反らし、里海を抱えて食卓に駆けていく。
「…だから言ったろ。小学生に絶対に秘密なんか守れないって。」
「…仕方ないだろう。話しておかなければ成功しない。」
ひそひそした声が目の前で飛び交っていた。
……なんだかここまであからさまに隠されると、ちょっと嫌な気分かも。
自分だけ仲間外れみたいな…。
視線を落とし、何も言わず食卓に着く。
秘密を口走らないようにと気をつけているのか、その日の食事は会話もほとんどなく終わった。
海斗は信じて待ってろって言ったもん。
というか、言われなくたって信じてる。
もう疑うのは嫌だから。
でもどうしたって、隠し事をされるって良い気分ではない。
早く知りたいな…。
『秘密』がなんなのか。
「遊里、明後日なんだが…」
「?」
ベッドに寝転がり考えこんでいたら、海斗が顔を覗き込んで来た。
「明後日って、日曜日?」
「ああ。昼、ちょっと付き合って欲しい場所があるんだが。」
「良いけど…どこ?」
「秘密だ。」
色っぽい目をして笑った海斗が、唇の前で人差し指を立てる。
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