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「嬉しいか…?」
「うんっ!海斗がくれたものだから、嬉しい。」
弾む声が、言葉より正確に私の喜びを海斗に伝える。
「そうか。お前が幸せそうだと…俺もたまらなく幸せだ。」
あまりに甘いセリフに頬が一気に熱くなった。
へへ、と笑って見せたら、海斗も笑顔を返してくれる。
そして車が家の門を通った時。
ふっと、疑問が浮かんだ。
…秘密がネックレスだとしても、あの女性はどう関係してるんだろう。
安田さんと食事をして帰って来たあの日、暗がりで海斗と話していた女性。
宝石商の人?
いや、彼女が宝石商ならわざわざお店まで行ってネックレスを買う必要はないはずだ。
「……」
考えてはみたものの、分からないまま車が玄関の前で止まる。
「遊里、おいで。」
先に降りた海斗が私に手を差し出してくれた。
その手に自らの手を重ね、車を降りる。
…後で聞いてみよう。
前を歩く海斗の背中を見ながら心に決め、家の中をリビングに向かって歩いた。
「あれ?遊真達居ないね?大平さん達も居なかったし…。」
リビングには誰もいない。
それどころか廊下ではメイドさん達ともすれ違わなかった。
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