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「…」
海斗は何も言わなかった。
そして代わりに、強く抱きしめてくれる。
その優しさに喉が熱くなった。
「…なんか、遊里さん、良いっ!!」
急に穴井さんが興奮気味に言い、目を輝かせる。
「海斗さんから話しを聞く度に良いと思ってましたが…ここまでツボを押さえてる方だとは…」
おまけにブツブツ言い出し、びっくりして海斗を見上げた。
「純粋過ぎなくらい純粋で、素直で可愛いくて…おまけに泣き顔がそそるんですよねぇ…思いっきり優しくした後にイジメて泣かせたくなるような…」
ビクッ。
あまりに大きな独り言に体がビクつく。
「か、海斗っなんか怖い事言ってるっ」
半泣きで海斗の服を掴んだら、海斗が私を穴井さんから隠すようにしてくれた。
「おい。やらんぞ。」
「分かってますよ!私は男性にしか興味ないですし。ただ、うらやましいなぁと。」
「…ペットが待ってるんだろう。早く帰れ!」
ペット?
震えていた体がピタリと止まり、海斗の腕の中から顔を出す。
ペットって犬かな?
猫?
それともハムスターとか!?
動物好きな私の心は一瞬にして小躍りを始めた。
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